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黄金聖闘士二次創作とたまにたわごと。ほとんど腐。羊師弟と兄さん's傾向。最近メモ化。お気軽にお声掛け頂けたら嬉しいです。

たわごと:強風で雨…

風が強くて買物にいきたくありません…そんな関東地方です。いや行く。行って来る!前のエントリでツイッタしてみたよって書きましたがどうやらプライペッターって物もあるらしくちょこっと見てまいりました。うーん。まだ使用してないんであれですけどピクシヴ人少ない!とかログ整理の場所となっている!とか…うん。なっちゃうよねって思いました。やり始めちゃうとね、愛着感じちゃってなかなか移動とか思わないけど人が少ないのは寂しい限り。ツイッタも気を付けないと呟きすぎるきらいがあるからやっぱネットって難しいよねえ(´・ω・`)まあ、呟くんですがね。

 

ピクシブよりサルベージ(゜-゜)

拙宅では先生とせつらと幻十の関係ってこんなイメージが確立されております。

 

***

「…あれ?」

 音も無く開いた重そうな扉に招かれて足を踏み入れると、この病院の院長が長い髪を流れるまま己の手を枕に美しい目を閉じていた。「寝てる?」「寝てるね」と美しい顔を見合わせた魔人二人である。
 先日に諸事情があり聞けずじまいだった幼馴染の検査結果を聞きに来た二人が婦長に案内されて院長室に入ったのが午後13時。約束にはまだ少し間があった時刻だっただろうか。ちょっと早いけどまぁいいかと来て見ればこの部屋の主が転寝をしているのだった。春が過ぎ梅雨にはあともう少しといった穏やかな天気がこの魔界医師に暫しの休息を与えたようだ。

「起きないし。…珍しいな」
「君のダミーを改良してるうちに徹夜でもしたんじゃないの」

 この院長が己のダミーを製造している事を揶揄されて、遠慮なく苦虫を噛み潰したのは西新宿にある老舗煎餅屋の店主であり副業に人探しを営む絶世の美貌の青年。

 秋せつら

 人の世のものではないと言われる美を持った魔界医師に「美しい」と言わしめる唯一の者であり、本業の売上げに多大な貢献をしている美しさを身に備えた者だ。後半の評価については本人は甚だ不本意のようだが。
 そして近付いて院長を覗き込んでいる者はせつらの幼馴染で浪蘭家の総領。名を浪蘭幻十と言う。彼もまた幼馴染に負けず劣らず秀麗だ。何とも美の宝庫。それがここ魔界都市なのである。
 その彼はそのまま起こさぬように慎重に、そのすらり綺麗な指先で静かに院長の艶めく見事な黒髪を払っていた。せつらが「何してるの」と問うと「こんな機会滅多に無いから、観察」だそうだ。「面白いのそれ」とせつらが呆れた風に肩を竦めた。

「睫毛長い」
「君も長いよ」
「ただ長いだけじゃあないんだ」

 幼馴染は「見ろよ、きっちり揃ってる。なんだこの円周。毎朝整えてるのか」と関心しきりだ。

「整える?」
「うん。あるんだよそう言う美容器具が」
「…………。何が嫌だな」
「肌が白いのは君もだが、先生は透明」
「透明じゃあ見えないじゃない」
「君ね、そうじゃなくて」

 透ける様な白い肌っていうだろ?と観察を続行する幼馴染を眺めながら、とりあえず何か無いかと白い医師の部屋を見渡したせつらは、すいとその場を離れ戻った時には片手に上質な豆の芳香を醸すコーヒーカップを持っていた。その間にも「目元が」「鼻筋が」「唇が」やら「皮膚が」「生え際が」「首の筋が」と幼馴染の実況が続いている。

「………。終わった?」
「凄いな」

 幼馴染がつくづくと溜息を吐き「完璧」と言う。この白い医師の造形はどうやら浪蘭家の慧眼にも適ったようである。

「親の顔も見たい」
「言葉の使い方間違えてるよ」
「君、見たくない?」
「何でさ」
「どっち似かなとか」
「そもそも親いるの?」

 どうだろうと首を傾げた幼馴染はせつらからコーヒーカップを奪いひと口、「うまいな」と言ってそれを突き返し「どうする?」と問うた。

「起こす?」
「うーん」
「ここ気持ち良いな。確かに」

 眠くなる。と両手をあげて「あーあ」と身体を伸ばす幼馴染に「寝ないでよ」と釘を刺し、せつらは本日の目当てである幼馴染の診断書が届いてないだろうかと探す事にした様だ。まず白い医師が眠るソファの前に置かれた重厚なテーブルの上には無い。ならばと向こうのデスクを見て回り「無いなあ」と呟いた。どこかに仕舞ってあるのかまだ届いて無いのだろうか。これ以上ここを探ると流石に怒らせそうだ。変なもの見つけてもやだし、とせつらは思う。
 ならば約束の時間まで暇でも潰すかと振り返ると、幼馴染が文字通りソファに乗り込み白い医師の見事に艶めく黒髪で何やら企んでいる。何をするつもりだろうかとせつらが見ていると、すらり脚を組み上質のソファに深く座った白い医師の、美しい顔の横から胸元、腰を越えた辺りまで流れる黒髪を暖簾の様に潜った幼馴染は側から見たらまるで白い医師の膝にしなだれかかっているかの様だ。しかし本人はそこら辺には全く忖度もせず、被った白い医師の黒髪をするすると手櫛で形を整えて「ロングに変身」と言ってせつらに向かって笑うのだった。それを見て「変だよ」とせつらも思わず笑んだ。

「癖っ毛が見えてる」
「似合わない?」
「似合わないと言うか。まあ、似合わない」
「何その言い方。じゃあ次は君」

 こうやって、こう、と手順を教え「被ってみてよ」と言う幼馴染に「やだ」と言うせつらだが「やってみてよ」「やだよ」「見たい」と応酬を繰り返した結果、幼馴染に根負けしたらしい。しぶしぶの体で「ほら」とせつらが先程の幼馴染と同じ様に白い医師に寄りその髪を被ると「はは」という幼馴染の楽しげな声が上がった。

「ああ、うん。それなりだなぁ」
「幻十よりは似合った筈」
「まぁ、負けは認めよう」

 あーあ、とまたひと欠伸。「ちょっと幻十」とせつらが声を掛ける前に幼馴染はするするとソファに沈んでいく。長い事静寂な土の中にいた彼は地上に出てから眠りが浅い。だから隙あればこうして眠ろうとする彼は「ここは…静かだな…」とひと言いい残し、あっさり睡魔に呑まれてしまったのだった。白い医師の膝枕で昼寝等、知られたら病院中が大騒ぎだろうか。

「…全く」

 ひとり残されたせつらはソファに座ったまま何となく部屋を眺め、それからすやすやと眠る幼馴染に視線をやった後「たまにはいいか」と呟いてごろり。幼馴染に見習って己も昼寝を決め込む事にしたらしい。さらりさらり。窓等見当たらぬこの院長室はどこからか季節の変わり目の爽やかな風が吹いている。まるで日向ぼっこでもしているかの様な陽気がもたらす安寧には流石の魔人達もどうやら白旗を上げた様だ。

 そんな様子をただひとり、一部始終見ていた者がいた。その者は幼馴染だと言う若者達の一連の仕出かしを見ながら「これは、何と言うのだったかな」と閉じた瞼の奥で考えていた。ああ、そうだ。これはこう言うのが相応しい。

「…くそかわ」
「何時から起きてた?」
 
 珍しく驚いたらしく思わずぱちりと目を開けた白い医師に「どうせ最初からおきてたんだろう」と言いたげなせつらは「30分たったら起して」とひと言。やれやれ、と肩を竦めた白い医師を置いてしばしの休息に目を閉じたのだった。