たわごと:どうしてこうなった
なんかなんていうかしたくないこと全力でしなきゃいけないのが大人なんですよね。そのあたりの愚痴を書き始めたら多分一冊の本が出来ると思います。
シオンさんが本気を出す話をぱちぱち書いてます。
弟子を口説き落とすのに、261歳が本気。これはこわい!!!!!!
うまくかけるかなー。。。ストレス発散に冒頭をフライング。
だだ打ち状態ですががが
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我が故郷の地には雨が降った後の新月にだけ咲く花がある。
その花は岩の窪みの雨水が溜まったところに咲くもので、雨の後の新月という条件が揃わないと見られぬもの。運よく雨の新月に当ったとしても月の無い夜に見つける事は難しい。だけど見つければ、闇夜にふわりと滲む様に燐光を持ち、月の代わりに満天の星が瞬く夜空にそれは洗練と茎を伸ばしている。この花の花言葉は「わたしの愛をあなたにすべて」という事から、一族の、初恋を迎える程の歳になれば必ず話に上るのだよ。
ジャミールにぽつぽつと人が戻り始めて暫く、自由の無い立場の師の意を汲み手が空けば顔を出し一族の用を手伝う弟子に、やはりこれは素直に良く育ったものとシオンは常から思っている。永く待った。いつ生命が尽きても不思議では無い己1人が修復の技を持ち、神代から一族に授かりし女神の御技もここまでかと不安と焦燥に駆られていた日々に誕生した我が継を、まだ早いと言う声を聞かず何卒私の子をお返し下さいと泣き叫ぶ産みの親を振り切って我が手に抱いた。故にこれは一族を知らぬ。それが馴染みの無い者達と一族を嫌う事無く、人見知りという己を押してこうして一族と誼を深めてくれるかと思えば尚更に愛おしさも増すもの。そう常から思うシオンは逢瀬の時間に愛しい者が腕の中で興味深げに一族の事を聞いてくる仕種さえ愛おしいと思っている。
今宵も熱く契りを交わし、ひと息を吐いたところでシオンは徒然に一族の話を弟子に問われるままに話していた。我が一族は女神の元へ上がる者以外は、大抵は家格と血統と占いで伴侶が決まる事、最後は本人の意思ではあるが。とその様な流れだっただろうか。件の花の話を思い出し、これとの閨の話になかなか良い風情なのではないかと、シオンは愛しい者の耳元でゆるりと花の話して聞かせていた。
「どの様な花なのでしょう」
さぞ美しいものなのでしょうねと、とろり余韻の残る声で問うものだから「ああ。凛と咲き、滲む様に星の光を纏う」と、そこまでを口にした。すと空気が変わった気がしてシオンは胸の上の愛しい者を見た。
「…………。」
「…………。」
「…………。見た事が、おありなのですね」
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