氷塊〔黄金聖闘士〕
あっつい。土曜はセミナーの為出社でしたそんな日に限ってあっつい。
そもそも北海道産の人なので暑さに弱いんですよ。しかし北海道の冬は暖かいので寒さにも弱いです。北海道って窓は普通に二重だし家中を熱するしで半そで短パン片手にアイス。割と本当です。
あっつい12宮。
そしてカミュはクールに良い人って小話の冒頭。だだっと打ち。
カミュの氷、欲しい…。
* * *
「チビの具合はどうだ?」
そう声を掛けて白羊宮を訪ねたのは唯一の隣人、金牛宮の主であった。その声に居住区の方からそろりと顔を出したのはここの主。普段から無表情の彼は今日もまた外気の温度等気にもしないといった風情であった。
「午後の仕事は休ませます」
「おお。それが良かろうな」
今年は異常気象の聖域であった。いや、此処だけではなくどうやら女神が常におわします辺り、日本もやはり高温と聞くし、世界あちこちでは旱魃に異常な豪雨と、おかしな気象が続いているのだった。
「全く。組手に夢中で己がこうなるまで気付きもしなかったとは」
最近は丘の麓にある宿舎の聖闘士見習いに混ざり組手やら何やら戦闘の基礎を習っている貴鬼が倒れたと彼の師に一報が入ったのが今から一時間ほど前。聖域に住まいながら聖闘士の上位、黄道12宮の者など遠目でも滅多に見ることの無い下っ端・見習いが驚きにぽかんと口を開けている。その中を迎えに来た師にひょいと抱えられ連れ戻されてからは、木製のベンチの様な長椅子に横になった貴鬼は足をたらいの水に付け、額には濡れた布が乗っている。今はすやすやと眠っているようだ。
「いや。今年は何かがおかしいぞ」
暑過ぎるのだ。ちょっと油断すると身体の水分を吸い取られそうなほどなのだ。教皇猊下の星見では何かが関与している形跡は無いとの事だがとにかく暑い。出身が暑い国の金牛宮の主アルデバランでも唸る暑さなのだ。
「そういえばムウよ。お前もここ数日修復に宮を籠もりきり…」
風が立つと銀星砂が散らばる事を嫌いほぼ密閉した中で作業をする我が修復師であるムウを気遣うアルデバランの言葉が終わらぬ内に、がたり白羊宮の石畳に倒れこんだムウであった…。
* * *
…あついよ…。ああ…エアコンってすごい。