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黄金聖闘士二次創作とたまにたわごと。ほとんど腐。羊師弟と兄さん's傾向。最近メモ化。お気軽にお声掛け頂けたら嬉しいです。

たわごと:禁止にすべきと春の夢

美容室いくのが月いちの楽しみなんですがファッション雑誌をななめ読みしてましてね、最近のってちょっとしたストーリー仕立てになってるじゃないですか。何曜日にはデスクワークだからこの服みたいなね。なんか今月「休日出社だけど気合いいれて白シャツに」だの「休日出社に撮影段取り!編集長チェックにどきどき」だの休日出社多くないですか?なにそれ国総出でそういう方向?もうほんとそれ止めましょうよまじで。そういえばウチの総務が最近やたらと振休消化しろだの騒いでるんですが噂によると4月から有給消化率50%行かない企業に行政が関与するとかなんとか。ああだからその前に振休片付けろってことですか。つかねこの業務環境というか、ブラッククライアントどうにかしてから言えって思いますね。

 

さて、だんだん春っぽい天気もちらほら。梅が咲いてました。季節は廻りますね誰が休日出社しててもねああつい引っ張ってしまいましたよしましょう。春なんで猊下に酔っ払ってもらうのはどうでしょう。いや酒には強そうですけど強い故に一人で飲んでて行き過ぎたみたいな感じ。260年物の雄フェロモン炸裂させてほしい。ちなみわたくしは最近これがいい感じ。ウマーです。元々バーボンから入ったクチでして、一晩ボトル1本空けても平気でした二十代の頃な。今は無理。

 

というわけで久しぶりに明るいうちから飲みつつだだっと打ち。

春に見る夢?

 

***

ジャミールの春は遅く、しかしそこにも等しく春は来る。温む風が地を撫でて草木の目覚めを促して、凝る水も動き出す。

白に沈む大地と共に眠るように過ごした季節は去っていった。雪解けに潤う土には芽吹く緑。始まりの季節に心が浮き立つのはこの身に宿した星故だっただろうか。目覚めたばかりだと言うのに元気が過ぎると大人達の笑い声に「星は一巡。白羊の宮に陽が巡る」と幼子の頭を撫でた人は一族の長。白金の髪は上方の徴。そう。あれは我が師。この春に生まれた一族の子を片手に抱いた。

「師よ。それはどこの子なのです」

問うたのは紛れも無い己の声。まだ高い幼い声だった。師の腕から零れる金の髪を見て「冬に生まれたのですか」と続けても師は応えず「なに、迷い子よ」と笑みひと言。それを見ていた大人達は「不思議な事」「我等が長の元には不思議がよくよく起きる事」等と口々に言う。長が迷い子を抱いていたと?

「この子には見える様だ」

「さすが黄道の、女神の御子というもの」

「いや。目ならば修復の者の慧眼であろうが」

どちらにしても頼もしいと寿ぐ声を振り切って師の裾を追う。私の師が子を抱いている。その事にざわりと心が揺らめいた。

一族の喧騒から離れ我が師の塔の前。

見たいとせがむ幼い弟子に「大人にせよ」と師が嗜めてゆるりと見せてくれたものは幾重かの毛布に埋もれたふっくらとした頬ですやすやと眠る赤子だった。

「どこの子です」

「さあて。どこから迷い出でたものか」

「しかしここにお徴が」

「一族の子に違いは無かろうが」

この師でさえも分からぬ事があるのかと幼い弟子は驚いただろうか。永く生き一族を率いたこの長でさえ分からぬことが。そんな事を思っている己の幼い弟子を見詰めた師はもう一度腕の中の赤子を見る。それから振り返り己の塔を見て暫く。何かを見定める様なこの師の仕草は既に見慣れたものではあったが。そっと細まる師の目に不安を感じ思わずその裾を抱き締めた。

「可愛かろうが」

この声に顔を上げれば、既に師の目は戻りただ笑んでいた。もう一度「可愛かろう」と呟いて幼い手を赤子の手に導いた。

「慈しんでやりなさい」

これはお前の、いや。この一族を繋ぐ唯一となろうよ。

「師よ」

血を技を繋ぐ。

「師…」

ああ、シオン。お前には要らぬ気苦労をさせた。

 

 

開け放たれた大きな窓からゆるりと入り込む風。その風に己の髪を揺らされて目が開いた。

ここは聖域。

中庭の石畳に温められた風はさらりと乾いていて、我が故郷の様に瑞々しく潤ってはいないのだ。既にここでの暮らしの方がずいぶんと長く慣れ親しんだ物となっていた筈なのに。懐かしい夢の所為かと己の腕を見ると、金の髪がとろりと零れ落ちているのが見えた。胸に乗る重さは確かめなくとも分かる。私の継。私の弟子。私の、愛し子。

心地よい春の1日に誘われ一献。思わず杯を重ねたか、何時の間にか寝入ってしまったのだろう。それでもこれを手放さぬかと己に呆れただ笑むばかり。愛し子の顔に掛る髪を流し息を呑む。

「…迷い子と」

夢の中で何かを見通し目を細めた師の顔はもう思い出せない。ただそれを見ていた幼い己の胸の内に浮かんだ不安は焦燥。あれは記憶かただの夢であったのか。もう一度、己の胸ですやすやと眠る愛し子の顔を見て「未だ我が師の腕に眠るか」と呟いて、夢の余韻を込めた唇でお前の居場所はここぞ、とその頬に触れるのだ。

 

***