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黄金聖闘士二次創作とたまにたわごと。ほとんど腐。羊師弟と兄さん's傾向。最近メモ化。お気軽にお声掛け頂けたら嬉しいです。

女神の男子部…?〔牡牛座獅子座蠍座射手座山羊座水瓶座〕

巷では職場の女子がチョコを用意するらしいですが、晶の職場はしませんよ。数年前に後輩に提案された気がしますが…。圧倒的に男子(オヤヂ)が多いんですよねえ。と言うわけでわたし至上最高しようもない小話を一部フライングしてみます。どうか当日に間に合うようにと呪いをかけつつ…

 

***

 冷たい乾いた風は聖域中を吹き荒らしざわりと音をたてて12の宮を撫で上げて丘を駆け上る。全くこの季節らしい寒さが数日続いている聖域であった。

「おや。お珍しい」

 貴方でもその様な衣服を持っていたのですねえ、と白羊宮の主に上から下までしげしげと眺められたのは獅子宮の主である。「…俺とてこれくらいの物は持っている」と不機嫌に返した彼は、ごく深い緑のマフラーにピーコート。良く見ると細かい迷彩柄の暗いボトムを合わせていた。

「聖域の外へ?」

「…まあ、そんなところだ」

 ふうん。白羊宮の主が小首を傾げた。ちなみに彼はしっかりと牡羊の金を纏っている。

「貴方の他にもその様な格好でここを通っていった者がいましてね」

「…そうか」

「ええ」

 何かもうひと言、言いたげな同僚の視線である。しかしどうせ聞いたところで「馬子にも衣装」だの「素敵ですねそのボタン」だの、腑に落ちない事しか言われないのだからと、足早に通り過ぎることにしたようだ。

 そうして同僚に「まあ、いっていらっしゃい」と見送られた獅子宮の主が向った先はギリシャの首都アテネ。一昨日に幼馴染の蠍から「なんでもニッポンフェアが行われているらしいぜ」と聞いたとあるショッピングモールの一角に設けられた特設会場であった。

 

*

 

 さて、聖域の丘の麓ではこの寒さにも屈する事無く白銀、青銅の聖闘士達が今日も後輩に稽古をつけていた。

「…ジュネじゃないか」

 五分休憩だよ、と息を切らせた少年達に声を掛け、ふと顔を上げたシャイナは、高速には及ばなくとも充分に高速で聖域に駆けて来る青銅の後輩を見つけ声をかけた。確か本日は月に二度、聖闘士の女子の間で当番を決めている「調達の日」ではなかったか。そうか今回はジュネの当番であったか。それにしても随分と慌てているようだけど、とシャイナははて?と腕を組んだ。

「…あぁ…シャイナお姉さま」

「…その呼び方よしておくれよ。シャイナでいいから」

 それよりもどうしたんだい?と問われ、ジュネは己の胸に手を当てて息を落ち着かせようと深呼吸をする。そうして語られたジュネの話はこうだった。

 今日は「調達の日」だったから、聖域の外に出てから着替えをして、アテネまで行ったの。通りかかったお店がニッポンフェアをやっているって言うからちょっと立ち寄ってみたんだけど、そこの一角に、あの…黄金の方たちがいて…。

「…何故?女神様が来ていて、その護衛かい?」

 それにしても黄金が数名なんて大袈裟だね、私達で充分じゃあないのさ。そう呟くシャイナに「…いいえ…そうではなくて」とジュネが首を振る。

「なんだい、はっきりお言よ」

 先輩に急かされて、ジュネは覚悟を決めてこう言った。

「…チョコレート売場で…レジに並んでいたの」

 

***