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黄金聖闘士二次創作とたまにたわごと。ほとんど腐。羊師弟と兄さん's傾向。最近メモ化。お気軽にお声掛け頂けたら嬉しいです。

女神の一週間:2〔ムウ・貴鬼の部分〕

くそうううう三が日中にはUpしたかったよおおおんん。・゚・(´Д`)・゚・。という気持ちを込めましてそろっと途中経過をアップ!旧正月中には…。くそう全ては仕事がわるいのだ!

 

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 その様な事があった、騒がしい数日であった、と教皇シオンの愛弟子は石段を上がりながら思い出し考えていた。考えて「次は女神のお生まれの国では正月、なるものの時期ではあるまいか」と思い至った。何故それを知るかというと、己の幼い弟子がよく城戸邸へ行き見聞きした事を師に話聞かせるからである。…まあ、これに懲りて暫くはお静かにしておられるだろう、神を誑かす事を専売としている守護も今頃は己の兄と過ごしているだろうから。等と当代の双子座には若干言葉の辛辣な当代牡羊座ではあった。
 その様な事をつらつらと思いながら己の師の奥の間へ進む弟子は、何となく何時もと違う神殿にふと足を止めた。何やら香ばしい匂いがする気がする…。くるり辺りを見渡して違和感の元を探そうとする弟子を「むうさま!」と呼ぶ声がするのだ。これは幼い我が弟子、とムウは己の腰の辺りに飛びつく弟子を両手で受け止めた。

「神殿に上がっていたのか」
「星矢達とお話してました!」

 幼い弟子が「これを頂きました!」と見せてくる物は確か「せんべい」なる物だ。前にも一度この弟子が貰ってきたことのある、米を潰して平たくしてrb:醤 > ひしおなる物で味付けし焼いた物。なればこの匂いはこれかと若き師は小さく首を傾げた。ぱきりと割って「むうさまにも」と欠片を師の口元へ寄せてくる幼い弟子の指先を舐めてやりながら、これのはしゃぎ様は、と目を細める師であった。この丘に住まっていれば歳の近い者に出会う事も少ないのだから、青銅が女神の元を訪ねた時などは嬉しいのだろう。また、星矢等も遊びの延長からの手合わせまで良く可愛がってくれている。この者達が己の次の世代を女神の金を纏い並び立つのであろうから、と若き師もそれを取り立てて咎める事もしなかった。「しおんさまのところ?」と問う弟子に「そう。この年のご挨拶に。お前も来なさい」と言って白羊宮の師弟は手を繋ぎ再び回廊を行く。「あのねむうさま」と幼い弟子が若き師を見上げて言った。

「しおんさまは長くここにおられるのでしょう」
「先の聖戦を知るお方ですからね」

 師の声にうん、と頷く幼い弟子はさらに問う。

「おいらたちも長くここにいられるの?」
「…貴鬼」

 何心も無い弟子の問い掛けに師は奥の間の扉に手を掛けたまま、ふと足を止めた。「女神さまがね言ってたって」と幼い弟子がした話はこうであった。

 女神さまはみんなのためにたたかうために何度もお生まれになるのでしょう?それで聖戦でたおれる事もあるし、冥界からお戻りになって人のお体がお亡くなりになるまで聖域でお過ごしになることもあったって。そんな時にジャミールの民の長生きの者達は女神さまをお見送りして、そうしてまた女神さまがお生まれになったらお迎えしたものだって。

「おかえりなさいませって。それがね、うれしいんだって」
「それは…」
「前の女神さまを知らない人たちばかりなのに、しおんさまにまたお会いできましたねって迎えられて嬉しかったって」
「…女神様が?」

 幼い弟子の話に若き師は思わず聞き返した。弟子は「ううん」と首を横に振り「星矢に聞きました」と言った。

「星矢がね、お前も長生きするのかな?っておいらに聞いてきたの」

 どうやらその時の話の流れから沙織が言っていた事を星矢がこの弟子に話して聞かせた様だ。ご自身が人の世を去る時に見送った者が、数百年の後またご自身を迎える。それが心強く嬉しいのだと女神が言っていたと。それを聞き終えて、師は弟子の頭を撫でながら「我が一族には長寿の血統という物があるのです」と言い「お前はもしかするとそうであるかも知れませんよ」と小さく笑んだ。

「おいらむうさまとおなじがいいな!」
「貴鬼や」
「むうさまとずっとごいっしよにいられたらいいなあ」

 そう呟く幼い弟子にはやはり笑みだけで応え、柔らかい頬を撫でてやる。そうして「今のお話をお前からシオン様へして差し上げると良い」と言い、互いに頷いた師弟は奥の間の扉の奥へ進んで行ったのだった。

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