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黄金聖闘士二次創作とたまにたわごと。ほとんど腐。羊師弟と兄さん's傾向。最近メモ化。お気軽にお声掛け頂けたら嬉しいです。

派遣先の朝は早い〔ドリームあほ話:1〕

 

1.グラード人材派遣サービス

 

 納期に追い立てられる日々と無能な営業とアホな取締り共に嫌気が差して、有給消化もかなぐり捨ててとっとと会社を辞めた私はもう既に2.3の派遣会社に登録を済ませていた。繫忙期前に、言うなれば敵前逃亡の様にブラック企業(上司が無能的な意味で)から足を洗う私に微妙な顔つきで「送別会いりますか?」と聞いてくる元同僚に最後の笑顔で丁寧に辞退して、二度と来る事ないなあってたまるかと思いながら社屋を出た私は途中コンビニで酒とアイスと水2ℓを購入し自宅に戻ると早速PCを立ち上げた。多分今日辺り、派遣会社から何か情報が来ている筈。そう思いメールをチェックすると、受信ホルダーには7件、迷惑メールボックスには19件の着信があった。その、7件の内5件は何故切れずに続いているのか未だに分からない学生時代からのアホな知り合いの誰が得するのか分からない近況メールだ。速攻ゴミ箱へ移動。さて残り2件は。

「…グラード人材派遣サービス。ああ昨日登録した」

 随分早いな。アイスのフタを舐めながら開く。まず一番に確認したのは時給。

「一万五千円?!」

 …いや、これ日給か。どこの風俗かと。ていうかそこに務められる若さはすでに持ち合わせてはいない。え?+機密厳守料別途加算?なんだこれ。いくら今日から無職だからといってヤバいところはちょっと。…業種:施設内清掃員。要するに掃除の人。なにこれもしや勤務先は暴力団事務所とかそんなんじゃないだろうね。…え?

非営利団体サンクチュアリ…」

 なにそれ。非営利団体サンクチュアリ日本野鳥の会みたいなやつ?それともシーシ○パード的ななにか?私は首を傾げた。アイスは半分溶けていた。

「……。」

 疲れた。別に明日からすぐ働きたいわけではなかった。今日はさ、酒でも呑んであんなところに務め続けた自分にご苦労さんと言って、酔っ払って寝てしまえばいい。そうそう。明日から考えよう。明日本気出す。そう思い、私はブラウザを閉じたのだった。

 

******

 

 さて。会社に遅刻する夢を見て朝の5時半に飛び起きた私の目覚めはとても悪い。結局いつもの時間ではないか、ああ当分クセは抜けないのかな。なんて事を思いながらPCを立ち上げメールチェック。受信ホルダーには6件の着信があった。その内5件は知人数名からで、とうとう辞めたのか、骨埋めるんだと思ってた、社長が辞めても最後の1人になるまで続けるんだと思ってたのに、等と言った意味の分からない内容であった。社長辞めて最後の1人って、何の罰だそれ。気分わりいわーと思いながら残り1件を見る。件名はグラード人材派遣サービス。

「……。」

 見るとやはり勤務先は非営利団体サンクチュアリ。昨日と同じかな?と思ったら日給が上がっていた。一万五千五百円。+五百円である。

「……。サンクチュアリ…。胡散臭いにも程があんだろ…」

 私はぷちっとブラウザを閉じた。見渡せばここ数週間ケアの行き届かない我が部屋の惨劇が見える。昨日呑んだくれて止めをさした。まずはここら辺を片付けてから考えてもいい筈と思い、部屋の窓を開けるのだった。

 

 

******

 

 二日ほどのんびりと忙しくて出来なかった事等を済ませていた。充実だね。何で今まで後生大事にしまいこんでいたやら自分でも良く分からな物等を粗大ごみに出し、やれやれすっきりしたなあと秋の風に思う。ええ。あんな会社辞めた事を、後悔等微塵も無いのであった。片手にお茶のペットボトルを持ち、何となくPCに向った。着信は7件。その内6件は以下略、最後の1件はまたもやグラード人材派遣サービスからだった。

非営利団体サンクチュアリ。だからそれなんだーつうの」

 この非営利団体サンクチュアリ、ぐぐっても情報が出てこないのだ。

「…うーん」

 グラード人材派遣サービスって日本が誇る財閥の運営する会社だし、怪しいところを薦めてくるとも思えないんだけどなあ。日給一万五千八百円。10日で十五万八千円。20日で30万…。

「……悪くは無いよね日給の上げ具合がけち臭いけど」

 誰に問うわけでもなく呟いた。だってそれに機密厳守の手当てもつくのだ。…いや、でも。

「清掃の人に、高くない?もしやあれかな、死体とか片す…」

 うーん。いやでも。しかし待てよ。と脳内会議を繰り広げた私は、この時退屈していたのだ。連休って後半ヒマだよねーとはあのアホの吹き溜まりに勤めていた頃の自分の言葉だが、というか自分も相当アホだな連休後半には仕事したいなあとか思ってた。ほんとあほ。

 兎も角、まあちょっと冷やかしに説明だけでも受けてこようか。そう思い私はグラード人材派遣サービスに返信をしたのだった。