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黄金聖闘士二次創作とたまにたわごと。ほとんど腐。羊師弟と兄さん's傾向。最近メモ化。お気軽にお声掛け頂けたら嬉しいです。

たわごと:書ける時に書いておく

なんか仕事も心情もばたばたしそうなんですよね。なので今のうちにぱちぱちと本編打ってました。いつもならここらで一度切って更新してしまうところなんだけど今回は長丁場。双子対決(?)の場面まで一気にいきたいと思います。ここ、一番書きたかったシーンなんですよね!ここまで書いたらちょっと自由にいろいろ広げられるんだ!

 

気がつくともう7月になろうかといったところですがそろそろ宝くじ当たってもいいのよ?本当に、色々と考える事も多く、これが岐路というものかとつくづく感じているところ。お金があったら選択肢が広がりますよね。はあ…。

 

なぜこの季節に寒い話を書くのか…。

校閲もそこそこにだだっと打ちです。弟子サイド。

 

 * * *

 意地を張り、師の元を暫く訪ねていない弟子は手持ち無沙汰にあちこちを、素材集めやら一族の元へ寄ってみたりと出歩いているのだった。多忙を理由に己の名代として幼い弟子を上へやっているのだから、それらしくしてなければと弟子は思っていた。

 手が開けば師の意を汲んで此処に出向き様々な用を手伝っていたムウに一族の者は皆優しく出迎えて、帰り際には色々な物を持たせてくれる。方々に散っていた一族は聖戦が終わった事を機に少しずつ集い始め、ここジャミールもいつかの様に明るい場所となるのだろうか。

 本日持たされた物もまた様々だったが、一番目を惹いたのは丹念な織りと秀麗な刺繍が見事な冬の上着。長く裾を引くこれは華美な装飾を落ち着いた色彩が馴染ませ、何とも由緒を思わせるもの。この見事な冬の衣服を是非教皇へと、師と同じく前の聖戦を知る老婆が持たせてくれたのだ。

「この様な、見事な物を」

 気安く持って帰っては師に叱られはしないだろうか、小さな果実ひとつ、加工した肉一枚でも今は大変な時なのにと受け取る事を躊躇う師を知る弟子はうろたえたが「これは是非にあの方へ」「我等では扱えぬ物」「見れば、分かりましょうから、是非に」と持たされてしまった。

 白羊宮に戻ったムウは改めて受け取った物をひとつひとつ確かめた。この甘い果実の蜂蜜漬けは幼い弟子が大層喜ぶことだろう。この焼き菓子も貴鬼へのお土産だ。干した肉、チーズや乾燥させたハーブやスパイスは、聖域の食事に飽きた師の為に持ち込むちょっとした料理に欠かせない。様々な木の実も、これを砕き乳と黒糖等でとろりと煮詰めて固めたものを手ごろに割ったものを師は大層気に入っていた。疲れた時に良いものだと今では執務の机にもこれの瓶を置いている。

「……。」

 ここ10日、会っていない内にここも随分寒くなった。衣替えや寝台の冬支度は幼い弟子に言付けたけれど、果たしてうまくできているだろうかとムウは丘の上を思う。思えば些細な理由で喧嘩別れをしてしまった。今では理由を思い出せずにいるくらいなのに。今宵は気を紛らわせてくれる幼い弟子は青銅の元へ行って居ないのだ。1人白羊宮にいると尚更に今夜の寒さが肌にくる。

 ふと色彩に目をやると、戻った時に一番に整え壁に掛けた冬の衣服。近寄って触れるとしっとりと柔らかく、ふと香の匂いがする。これは誰かの持ち物だったのだろうか。誰か師の縁の人の…。

 それならば早々にこのものを届けねばならない。決して寒さに折れた訳ではなくて、そう己に言い聞かせ手早く荷物を見繕うと、ムウはすっかり冷えた風の中を石段を上がっていくのだった。