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黄金聖闘士二次創作とたまにたわごと。ほとんど腐。羊師弟と兄さん's傾向。最近メモ化。お気軽にお声掛け頂けたら嬉しいです。

たわごと:人生ハードモード

通り越してナイトメアって気分です。あたいゲームはストーリー重視派なんで甘~中辛なのに!ほんとはやく宝くじ当てないと!当ったら小田原当りに引っ越したいですていうか火山こわいけど…っ

 

八つ当たり気味に羊師弟の殴り書き。あああ夏なのに、寒い夜の小話です。

 

 * * *

 

 やれ所用だ修復だと言い訳をしながら、ここ数日己の名代にと小僧を寄越してくる弟子にシオンは若干憤っていた。

「だからあー」

 語尾を延ばした話方は止めよとこの前白羊宮で暫くを過ごした時に指摘した筈なのに。一度や二度では直らぬ様だとシオンは聞こえてくる小僧の声を聞く気は無しに聞き流していたら、何やら引っかかる事を小僧が言った。

「ムウさまはねあったかいんだよ!」

「貴鬼お前まだムウと一緒に寝てるのか?」

 答えたのは天馬の様だ。しかし何となく、聞き捨てならない話であった。ムウなど7つで1人ジャミールで生きていた。全くあれはこの小僧に甘いのではあるまいか。実は7つまで一緒に寝ていて、聖衣譲位・宮拝領の後も数日に一度はムウにぐずられて、仕様が無い今宵限りぞと添い寝をしていた己の事はすっかり失念しているシオンである。もうひとつ、1人ジャミールで、は1人にさせられたが正しいのだが、このあたりもシオンは失念しているらしい。やはり小僧はそろそろ自立を促す為にも丘の麓の宿舎にやるべきとつらつら思うシオンの耳に、尚も小僧の会話が続く。

「な、なんだよ星矢あ!昨日は凄く寒かったから」

 最初は1人で寝てたんだけど夜中に気付いたらムウさまの寝台においら寝てて…。

「昨日の夜は凄く寒かったからムウさまがおいらをご自分の毛布に入れてくれたのさ」

「まあ、確かにここ数日寒いよなあ」

 見た目によらず優しい師だよなムウってさと星矢の言葉に「もー!ムウさまは世界一優しいおいらのお師匠さまだよ!」と嬉しそうに怒る小僧。そのやり取りを聞きながら「…解せぬ」と目を細めるシオンであった。

 

 確かに寒いのである。今年は秋が無くいきなり冬到来の様な寒さが聖域を襲っていた。先程も「寒いので日本に戻ります」と駄々を捏ねる女神をシオンは聖域の父の威厳で叱り宥めたばかり。「全くこの寒さは」と、急に訪れた冬の様な気象にもしや異変の兆候がとここ数日星見を続けているのだ。いや、そんな事等どうでも良い。それよりも。

「小僧が寒いなら、この師も寒いと何故気付かぬ」

 要するに、ここ暫くを訪ねて来ない愛し子に、シオンは怒っているのだった。所用だ修復だ等と、そんなものどうにでも片付けて顔を見せれば良いものを。そもそもが小僧に甘いのだとシオンは最後に愛し子の顔を見た日を思い出す。そう、あの時も「お前は甘いのではるまいか」との師の指摘に「その様な事、ございません。あれには厳しく」と憮然な面持ちで言い返した弟子なのだった。それからどうにもならぬ重い空気が漂って、その日から弟子は此処を訪ねていないのだ。

 

 昼間に小僧の他愛無い話を聞いた日の宵の時間。己の布いた結界内に弟子の気配を確かめて「…未だ一の宮。今宵も来ない気か」等と長椅子に横になりながらシオンはひとりごちている。今夜もかなり冷え込みそうな雰囲気が宵の内から流れている。シオンは数度目かの溜息を吐いた。

 孫弟子の教育指導について、小僧の師はあれなのだからとシオンは口を出す事は殆ど無いのだ。出せばあの様に機嫌を損ねてこの様に意地をはって会いに来なくなるのだから。全く一体誰に似たのやら。しかし。こうやって愛しい者の気配を確かめては落胆等、女々しいなと己を笑い椅子を立つ。聖戦が過ぎ、空に徴が見えなくなって暫く。毎夜と言っていいほど行っていた星見の日数も3日に一度となっていた。全く己が一番腑抜けていたかと、シオンは星見の丘に向うのだった。

 

 * * *