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黄金聖闘士二次創作とたまにたわごと。ほとんど腐。羊師弟と兄さん's傾向。最近メモ化。お気軽にお声掛け頂けたら嬉しいです。

慕情の反対側〔シオン ムウ〕

ぐだぐだと若干キャラが変わってしまったシオン様ですが弟子から見たらこんな感じですというダダ打ち小話。SSはともかく本編のシオン様は怖くてクールに書けたらいいなあと思っています。が書いてる本人が不真面目なので叶うかどうか…。

 

 * * *

 

 私の記憶の師の声は細く潰れ低く、幼い私の胸に染み入る様な声だった。

 「それは見ごたえのあるものであっただろうな」

  不器用にぎこちない様を見て見ぬふりをして優しく笑んで答えてくれるこの人の声は今は強く張り活き活きとこの身の奥に響きを伝えるのだ。聖戦で死に、この人と共に生き返り暫く。若返った姿は兎も角、私は未だにこの人の声を聞きなれずにいるのだった。ああ、また。私はこの人の前だと心が騒ぎ手が震え、焦るあまりに余計な事を言ってはいないか。組手にも様々な決め事があるのだと知った等、この人にいらぬ気遣いをさせてしまったのではあるまいか。私を見詰める紫にも寄る藍の目がすと細まって、私は己の浅慮に心底気落ちするのだった。

 「陽が地平に現れぬうちに修練場の奥の荒地に来るが良い」

  はっ?と思わず素直に聞き返した。己の不躾に気付く余裕も無かった。修練場の奥の荒地に来いとこの人が言うのだ。何度もたった今の言葉を胸に反芻し意味を考える私に更に「手ほどきをしてやろう」と言って困ったように笑んだのだ。手ほどき。この人が、あの…………手ほどきを?そう返すのが精一杯であった。ああ、まるで痴れ者の様に言葉に窮するとは。さっきまで抑えていたはずの震えを気取られやしないだろうか。もうどうして私はこうなのだろう。気の利いた返事ひとつできぬ等と…。そんな情けない姿の弟子を哀れと思ったか、どうしても壁を壊せぬ弟子を不憫と思ったか、私の不躾な態度にも叱りもせずに、そう怖がるな落ち着けよと笑いながら「私はお前の師であろうに」と私を諭す様に言った。

  お前の、師。

  師。そう生き返り、何度も我が師と呼びながら、思い込めぬ心の壁をもてあます弟子にその人が言うのだ。私以外にお前に教える者等おらぬと。私の師。師しか私は知らぬ。師しか私が教えを乞う相手などおらぬと思う私に、この私がお前の師であると、この師が言うのだ。

  私の、師。

  そう思ったとたんに体がふと熱く感じ始め、この身の全てに血が巡っている事を実感する。本当にいいのだろうか。もう少し、近づく事を許されるのだろうか。そうしてもう一度、私は今度こそさっきの言葉を反芻する。

 我が師が手ほどきをしてやろうと言う。

 この師が手合わせをしてやろうと。

  顔を上げ師を見上げ「あの、本当に、明日」と問うと「ああ、必ず」と返る、その師の笑みに私は思わずつられてしまうのだった。

 

 

 * * *

 

この後ウキウキしながら12宮の丘を下りて行き「なんだあの浮かれ具合は」「何が起きたのか」と仲間に心配されるといいと思います。そしてしまいこんでいた修練着とかをウキウキしながら衣装箱から引っ張り出して明日の為に洗って干してればいいと思いますwお隣さんに思わず話してしまって、明日の予行の相手をしてもらうんですw牛さんいい人(*´Д`*)